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YASHICA ELECTRO 35GX

携帯性:★★
操作性:★★★
機能性:★★★
描写力:★★★★
快適度:★★★
 2004年1月、リサイクルショップにて購入。メカニカル・シャッターは動作していたが、水銀電池の代替でアルカリボタン電池を入れてみてもAEがうまく動作せず、実用にならず。最高速の1/500秒のシャッター速度と絞りの操作で撮影することも不可能ではないが・・・。

携帯性:★★ − バッグに忍ばせるカメラではない

 ヤシカエレクトロシリーズの中では小型化されたカメラですが、同じようなレンジファインダーのカメラであるコニカC35と比べると、かなり大きく重いです。レンズが大口径比だからと言っても、一眼レフのニコンFE10に薄型レンズの50mm F1.8を装着したものと重さは変わりません。現代のコンパクトカメラのようにバッグに忍ばせて必要なときに取り出して使うという向きにはまったく不向きです。しかし、これ1台を肩や首から下げて撮影する分には軽快に使えます。でも、首に下げるにはちょっと重いかな。

操作性:★★★ − レンズ鏡胴根元のフォーカスリングは使いづらい

 普段、一眼レフでレンズ先端のフォーカスリングに慣れていると、このカメラのレンズ付け根のフォーカスリングは少々使いづらいです。一眼レフの通常のレンズだと、レンズ先端がフォーカス、根元が絞りのリングですが、このカメラは位置関係が逆なんですね。M型ライカのレンズもそうなので「位置が悪い」とは言いませんが、あまりに付け根にあるので、もう少しでもボディから離れたところにフォーカスリングがあると良かったです。

 フィルム給装まわりは、巻上げ時の「バシャッ」というシャッターチャージ音が安っぽいですが、フィルム終端まで軽やか巻上げフィーリングや、巻き戻しクランクも軽く回すことができて使いやすいです。

機能性:★★★ − シャッタースピードの分かる露出計であれば・・・

 ヤシカエレクトロの1つのウリが電子回路を利用した絞り優先AEで、撮影者がカメラをコントロールできないプログラムAEばかりの最近のコンパクトカメラと比較して、これをもてはやす人たちも多いです。ただし電子制御されるシャッター速度を知る術はなく、露出オーバーの赤ランプと1/30秒より長秒時のシャッター速度の際の手ブレ警告の黄ランプの2つの警告ランプがあるだけです。

 こうなるとせっかくの絞り優先の露出も露出値を知ることができないうえに、露出値のロック(今で言うAEロック)もできないので、描写のコントロールという点では不満が残ります。フィルム感度設定で露出補正ができるといっても、露出値が分からなければ補正量もコントロールのしようがありません。たとえカメラの露出計がどんなに正確であっても撮影画面のフレーミングでは常に完全な結果にはならないですから、露出を制御する手段と、その手がかりとして露出値を知るためのシャッタースピード表示が欲しかったです。

描写力:★★★★ − 誇張のない自然で素直な写り

 実は裏蓋ヒンジ部からと思われる光線漏れのため、撮影したフィルムの多くのカットで画面左側の大きいものでは4割ほどにもなる盛大な光線かぶりがありました。数少ない光線かぶりのないカットや、光線かぶりのない部分を見ると、誇張のないナチュラルな写りという印象で、非常に好感を持てます。これは早く直して完全な状態で使いたいと思わせてくれます。いいカメラです。

 その後、習字の下敷きを使ってモルトの修理を行ったところ、光線漏れは解消。非常によく写ります。が、その後シャッターの不調で実用にならず・・・。

快適度:★★★ − ファインダーが明るければ・・・

 使ってみていくつか難点を挙げると、1つはシャッターボタンのストロークが深く、上手くシャッターが切れないことが多くあります。経年劣化による部品の不具合によるものと思われますが、いつシャッターが切れるか分からない面もあって手ブレを起こしやすいです。この不具合でまったくシャッターが切れなくなることもあるようなので、それに比べればましと言えますがこれは問題です。細長いプラスチックのシャッターボタン(ボタンというよりは棒)の感触も、お世辞にもいいとはいえません。

 また、ファインダーが暗いのも使い勝手を悪くしています。「ろうそくの明かりでも写る」というキャッチコピーで売り出された大口径比の明るいレンズのエレクトロですが、ファインダーが暗すぎてとてもじゃないけどろうそくの光ではピント合わせは不可能です。蛍光灯照明の夜の部屋でも厳しいくらいです。これも経年劣化の可能性はありますが、コニカC35と比べても明らかに暗いファインダーは快適とは言いがたいです。ひし形の二重像も、C35よりも見え具合は劣る印象です。

 しかし、作りや質感の良いボディで、いかにもカメラらしい操作感は使っていてなかなか気持ちがいいです。状態の良い個体であれば、もっと快適度は増しそうです。僕も光線漏れだけでも直してあげなきゃね。

主な仕様

発売
1975年7月 希望小売価格37,500円
レンズ
COLOR-YASHINON DX 40mm/F1.7 4群6枚
シャッター
4秒〜1/500秒、セルフタイマー内蔵
合焦方式
一眼レンジファインダー 直進へリコイド
露出制御
自動露出連動範囲:EV0〜17(ISO100)
フィルム感度使用域:ISO25〜800
外観
123×75.7×64mm、約580g
その他
ファインダーは採光式ブライトフレーム、0.62倍、パララックス自動補正。
エレクトロシリーズ最終機。同年10月にクロームボディ発売。価格36,000円。
リンク
ヤシカエレクトロに関してはヤシカエレクトロ研究魅惑のエレクトロルームが詳しい。
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