<< YASHICA ELECTRO 35GX | main | RICOH R10 >>

KYOCERA SAMURAI x3.0

携帯性:★
操作性:★★★
機能性:★★★
描写力:★★★
快適度:★★★
 2004年10月、リサイクルショップで1,000円で購入。ハーフサイズのカメラはCanon Autoboy TELE6を持ってたが、縦送りハーフへの憧れはなんとなくあって、リサイクルショップで見つけて安かったので買ってみた。が、やっぱり古さが目立って21世紀人には使いづらい。

携帯性:★ − とにかく大きく全然コンパクトじゃない

 ビデオカメラのような独特の縦型の形状をしたカメラで、片手でホールディングはしやすいですが、かなり大きく全然コンパクトじゃありません。って、いちおう一眼レフだもんな。これ。特に僕が持っているのは専用のハンドグリップ付きで、これがまた幅を取って収納の邪魔になることこの上ない。バックに写っている専用ケースでも、ハンドグリップ部は外に出るようになってるくらいです。これなら普通の一眼レフのほうが小さいくらいです。

 なお、後継機サムライZシリーズでは、体積比でこの初代よりもボディサイズが24%小型化されています。

操作性:★★★ − 横位置では使いやすいが、縦位置撮影は至難

 独特な形状は、右手でボディを下から保持すると右手人差し指がシャッターボタンにかかり、左手で上から包み込むように保持するとズームボタンに指が乗るようになっており、安定したホールディングが可能になっているのは良く考えられています。操作ボタンに自然に指がかかるので、シャッターとズームの操作性はまずまずです。ただ、できればズーム操作も右手でできると良かったです。グリップがなければ右手の人差し指がズームボタンに届きそうなんだけど・・・。

 その他には裏蓋部分に日付設定、ストロボモード設定、フィルム途中巻き戻し、ドライブモード(連写、セルフタイマーの設定)のボタンがあり、液晶表示を見ながらボタンを押して機能設定・切り替えを行っていく標準的なものです。

 最大の問題は、独特の形状ゆえに縦位置構図の撮影が非常にやりづらいことでしょう。通常の横位置のホールディングのままから90度回転させると、左手の手首は不自然に返り、右手を上から被せると右脇が開いて非常に持ちづらいです。僕はカメラを持つ手を少しずらして、双眼鏡を覗くときのような持ち方に変え、左手人差し指でシャッターボタンを押しています。

機能性:★★★ − ハーフで広角35ミリをカバーするズームはGood

 主な機能としては、3倍ズーム、ストロボモードの変更、秒間2コマの動体に追従した連写があります。

 3倍ズームは、35ミリフルサイズ換算で35〜105mmと実用的な範囲をカバーして、開放F値もF3.5〜F4.3と明るめで、なかなか実用的です。特に、撮影面積が小さく望遠側に寄りがちなハーフサイズカメラで広角側が35mmをカバーするのは使いやすいです。

 ストロボモードはオート、発光停止、スローシンクロの3つ。時代的にはスローシンクロを搭載しているのは先進的でしょうか。ただ、暗所で全然合わないオートフォーカスでスローシンクロが実用になったのか、イマイチ疑問です。

 ドライブモードは1コマ、秒2コマの連写、セルフタイマー、セルフタイマー+連写の4モード。セルフタイマーがドライブモードの中に入っているのは合理的です。動体に追従するオートフォーカスによる秒間2コマの連写というとすごそうですが、やっぱりフォーカスが合わないのでどこまで実用に耐えるのかは甚だ疑問です。

 また、ファインダーに視度補正機構が内蔵されている点は評価できるところです。

描写力:★★★ − なかなかシャープに良く写る

 さすがに一眼レフで余裕のあるレンズ構成ゆえでしょうか。なかなか良く写ります。時にエッジの効いたようなシャープなカットも散見されます。部屋で触っていると室内の暗さのためオートフォーカスが遅く、合いにくいですが、明るい屋外であればまずまずの精度で使える感じです。

 ただし、近接撮影時はかなり苦しいです。最短撮影距離(1m)ギリギリになると、オートフォーカスは合いづらいし、ファインダーでピントが見えないので、撮影中に結果が読めません。結果的に僕の場合はフォーカスを外したカットになってしまいました。撮影距離には余裕を持たせたほうが安全です。もう少しファインダーが明るくて、きちんとピントの分かるものであれば、もっとレンズを生かせるのですが・・・。

快適度:★★★ − シャッターの切れ味はさすが一眼レフ

 実際に使ってみて一番気になるのは、ピント合わせです。遅いし、合わないし、音もうるさい。一眼レフなのだからマニュアルで合わせて・・・と思っても、マニュアルに切り替えはできないし、ピントの分からないファインダーだし。オートフォーカスの性能がもっと良ければずいぶん勝手は違ったと思います。また、ズームの動作も非常に遅いです。

 ただし、シャッターの切れ味はさすがに一眼レフで、普通のコンパクトカメラとは一線を画しています。ハーフサイズの恩恵も合って秒2コマの連写可能なフィルム巻き上げも速く、ここはなかなか快適です。

 ファインダーは一眼レフなのにピントが分からないのが最大の問題ですが、それに加えてやや暗めなのも使いづらいです。ズームレンズとしては比較的明るめのレンズですが、ファインダーが暗くてそれが実感できません。

 ホールディングはしやすいけれど大柄なボディ。せっかくの一眼レフを生かせないピントの分からないファインダー。ピントの合わない動体追従連写。特異な形状、縦送りハーフ一眼レフというユニークさの際立つカメラですが、カメラのコンセプトに当時の技術が追いついておらず、時代の狭間に消えて行ったカメラという印象です。

主な仕様

発売
1987年11月 希望小売価格59,800円
レンズ
25mm/F3.5〜75mm/F4.3(35mm判換算35〜105mm) 13群14枚
シャッター
1/500〜2秒
合焦方式
位相差検出方式オートフォーカス 1m〜∞
露出制御
2分割SPD素子によるプログラムAE
連動範囲 TELE時:EV10〜18、WIDE時:EV9〜18、夜景モード:EV3〜18
ストロボ
内蔵固定式 自動発光、夜景(発光禁止)、スローシンクロ、連動範囲:1.3m〜3m
外観
67×117×126mm/560g(電池別)
その他
1988年度カメラグランプリ受賞。
写真は専用ハードケース、およびハンドグリップつき。
レビュー
カメラの新しいスタイルを確立(INFO BAZAR)
京セラ サムライシリーズ(penguin19's COMPACT CAMERA) サムライシリーズの機能比較表
    # written by Snapshot BLUES | - | - | 写真 > カメラ > コンパクトカメラ -