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MINOLTA α-8700i

 2006年10月8日、リサイクルショップにあったジャンク品を、ついうっかり買ってしまった。
 プラスチックマウントのAF ZOOM 35-70mm F3.5-4.5付きだったが、このレンズがかなりのボロ。中玉にはカビがあって曇り気味だし、フィルター枠は割れているし。止めておこうかと思ったが、電池を入れて本体の動作を確認して気が変わった。

 さすがにα第2世代の最上級機。動作フィーリングが良い。金色の機種名のロゴは最上級機を示しているのか。AFはNikon F-801よりもスムーズで静か。ファインダーも見やすい(パノラマを示す線と文字が刻印されてるのは邪魔だが仕方ない)。ファインダー内表示の液晶が漏れているが、文字が読めない状態ではない。

こんなカメラ

 1990年2月に発売された、ミノルタの第2世代AF一眼レフiシリーズの最上級機。1988年5月に発売されたα-7700iの改良機で、第2世代αの完成形となるカメラ。

 α-7700iからの主な改良点は

  • シャッタースピードの高速化 (1/4000→1/8000)
  • シンクロソケットの装備
  • 露出補正機能の独立と露出調整ボタンの追加
  • ファインダーのハイアイポイント化(これに伴いファインダー倍率は0.84倍→0.75倍へ低下)

など。ボディのデザインはα-7700iのものをそのまま踏襲している。

 基本スペックは、3点ワイド/中央1点切り替え式のオートフォーカス(動体予測自動切換え)、測距点連動のTTL6分割開放測光(中央重点平均測光、スポット測光可)、毎秒3駒の自動巻上げなど。

 現在では撮影シーンモード(例:スポーツ、ポートレート)としてカメラに搭載されている機能が、α第2世代では「インテリジェントカードシステム」としてICカードの入れ替えにより実現されている。半導体製造工程の微細化が進みメモリーが大容量化した現在ではカメラ本体に内蔵された機能であり、過渡期的なシステムと言っていいだろう。

フルモードでも微妙に使いにくい露出機構

 露出はプログラムAE、絞り優先AE、シャッター速度優先AE、マニュアルを備えたフルモード。レバー操作はやや使いにくいが、プログラムシフトができるので、基本はプログラムAEで使っていれば充分だろう。ただし、露出を意図的にコントロールしようとすると、操作性の悪さが気になる。

 手持ち撮影では最低限のシャッター速度を確保するため、シャッター速度を固定して絞りを操作して露出を制御することが多いと思うが、マニュアル露出時には絞り値の変更がボタン+レバーの操作となるため、シャッター速度優先的なマニュアル露出は使いにくい。

 個人的に最大の難点は、オートフォーカス利用時には、スポット測光を除いて独立したAEロックができない点。分割測光時はシャッターボタンの半押しでAFロックとAEロックが同時に行われてしまい、中央重点測光の場合はAEロックすら行うことができない。辛うじてマニュアルフォーカス時には、ボディ背面のAFロックボタンでAEロックができる。

 マウント基部の左手側ペンタ部寄りにある露出補正ボタンも少々押しにくいため、AF連動の多分割測光に任せがちになってしまう。

 スポット測光時にはAFとは独立したAEロックが可能となる。測光範囲はやや広く、中央部分測光に近い。スポット測光ボタンを押すと、スポット測光エリアの露出値でAEロックがかかる。後のカメラで搭載されている、スポットボタンを押した状態でカメラを振るとロックした露出値との輝度差を表示する機能はまだ搭載されていない。

AF性能とファインダー

 オートフォーカスは、3点測距によるワイドフォーカスエリアと、中央1点測距の切り替え式。ファインダー表示へのスーパーインポーズはないので、ワイドエリア使用時の測距点は利用者には分からない。ただし、ファインダー像は非常に見やすいので測距点が問題になることはないだろう。

 アキュートマットを採用したフォーカシングスクリーンの見え具合は抜群。ボケ具合も良く、MFも苦にならない。ハイアイポイント採用のため倍率は若干低めだが、AFカメラとしては標準レベル。画面下部の情報表示が見やすいので、ハイアイポイントの利点の方が大きく感じる。

 AFの動作はモーター音も抑えられており、発売時期を考えれば十分に速い。逆光時などに全くピントが合わないことが多いのだが、これは曇ったレンズのせいかもしれない。ファインダーが秀逸なので、AFに固執せずMFを使えばいいだけの話。

使用感 〜 ボタン操作は少々面倒

 ドイツ人工業デザイナーのハンス・ムートによるデザインも秀逸。やや幅広のボディで大きく深めのグリップは女性にはやや大きいかもしれないが、男の手にはなじむ。

 AF初期のカメラのため、ボタン+レバーという操作が主体。個人的にはあまり機能変更などを行わないのでさほど不満はないが、レバーがダイヤルになっていればもっと操作感は良くなっていたと思う。

 操作で一番使いづらいのは、液晶表示を見ながら変更したい機能をセレクトボタンで選択してから、ファンクションボタン+レバーで設定内容を変更する点。デート機構の調整で、セレクトキーを何度も押して年・月・日・時・分の設定箇所を切り替えるのと同様な操作といえばイメージできるだろうか。

 設定する機能は、測光方式/フォーカスエリア/巻上げモードの3種類しかないのだから、最初から機能ごとに3つのボタンを設けておいて、そのボタンを押しながらレバーで設定値を変更できれば使いやすかった。3種類しかないからボタンによる選択でも十分だと設計者は考えたのかもしれない(デート機構の調整よりはマシではある)。

 使いにくさを解消するために「P」マークのプログラムセットボタンがあるのだが、これは各種モードが初期値にリセットされるだけ。ユーザー設定値へのリセットが可能になるのは、もっと後のカメラになってからである。

 ミノルタAFカメラはホットシューが独自仕様のため、汎用スピードライトが使えないのが難点。ただ、α-8700iは最上位機種であったためかシンクロターミナルが用意されているので、ブラケットを利用すれば汎用スピードライトも利用できる。

 フィルムの巻き上げ音はやや騒々しい。巻き戻しは結構速い。

 購入時点で最大の問題は、レンズ。一応レンズ付きで購入したが、カビで曇ったボロボロの最廉価版のレンズ。ミノルタAマウントレンズは他に持っていない。できれば単焦点レンズが欲しいのだが、またボディのためにレンズを増やすのか・・・。

主な仕様

発売
1990年2月 希望小売価格 88,000円
合焦方式
TTL位相差検出方式 ワイドフォーカスエリア(スポットフォーカスエリア選択可) 動体予測 測距範囲:EV0〜18(ISO100) AF補助光内蔵
露出制御
プログラムAE(プログラムシフト可能) 絞り優先AE シャッター速度優先AE マニュアル
フィルム感度設定:ISO25〜6400(DX自動対応、手動設定可)
測光方式
AF情報に連動した多分割測光 中央重点平均測光 スポット測光
測光範囲:EV0(スポット測光時EV3)〜EV20(ISO100・F1.4)
フォーカスロック時およびスポット測光時AEロック 露出補正可能(±4EV、1/2ステップ)
シャッター
電子制御式縦走りフォーカルプレーンシャッター
シャッター速度:1/8000秒〜30秒、B、X(1/200秒)
ファインダー
視野率92%×94%(短辺×長辺) 倍率0.75倍(50mmレンズ・∞) ハイアイポイント
フィルム給送
自動巻上げ(3コマ/秒) 巻き戻し:オートリターン、約8秒で巻き戻し(24枚撮り) 多重露光可
電源
2CR5 6Vリチウム電池 1個
サイズ
153mm(幅)×93mm(高さ)×69mm(奥行) 600g(電池別、クォーツデートは615g)
その他
インテリジェントカードシステム:フォトテクニックカード(ジャンル別撮影テクニック設定)、スペックアップカード(撮影機能の付加、撮影データの記憶)、カスタムカード(カメラの機能変更)の利用可能
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