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PENTAX MZ-10

 2006年9月15日、リサイクルショップのジャンク品を購入。プラスチックマウントは使い込まれた状態で、ミラーの拭き跡やシャッター幕汚れもあり、状態良好とは言い難いが撮影結果は問題なし。
 実は前日にペンタックスAFボディは持っていないのに、F ZOOM 24-50mm F4とFA 28mm F2.8を各1,050円で同じ店で購入しており、これらのレンズを使うのに安かったこのボディも買ってしまった。
 MF利用であればME、MXを持っており、手持ちカメラに使うためにレンズを買ったはずが、レンズを使うためにボディを買うという本末転倒となってしまった。

こんなカメラ

 1996年6月に発売された、ペンタックスのAF一眼レフ第3世代MZシリーズの2号機で、シリーズ最初の入門機。プラスチックマウント、ペンタミラーの採用など小型軽量化が図られ、ボディのみ365gと非常に軽い。

 基本スペックは、オートフォーカスは3点測距によるワイドフォーカスエリアで中央1点のスポットフォーカスは不可。動体予測は自動切換え。露出はTTL6分割開放測光で、中央重点やスポット測光は無し。シャッターの最高速度は1/2000、同調速度は1/100以下。28mmレンズをカバーするGN11(ISO100)のポップアップ・ストロボ内蔵。

 電源はCR2リチウム電池を2個利用するが、オプションの単3バッテリーパックFGを装着することで、単3乾電池4本を利用することが可能になる。

 入門機でありながら使用できるレンズに制約が少ないのも特徴。後のボディでは省略されがちなパワーズーム用接点を残しており、パワーズームも利用可能。MFのKマウントレンズでも絞り優先AE、フォーカスエイドが利用可能。マウントアダプターを介したSマウントレンズ(M42レンズ)でも絞り込み測光による絞り優先AEが利用できる(電子接点を短絡すればフォーカスエイドも可能)。

充実の露出機構

 プログラムAEは、撮影目的別のモードを標準・人物・風景・近接・動体を5つの絵文字で表したピクチャーモード式。ピクチャーモードは任意に選択することも可能だが、このカメラからペンタックス独自の自動選択によるオートピクチャーモードが搭載されている。

 オートピクチャーモードはカメラが自動で撮影モードを選択するもの。これが意外なほど適切なモードを選んでくるのが面白い。初心者には任意選択よりも手軽で使いやすいはずで、もっと評価されてもいい機能。

 また入門機とはいえ露出制御はプログラムAEに加えて、絞り優先、シャッター速度優先、マニュアルを備えたフルモード。±3EV(1/2ステップ)の露出補正やISO感度のマニュアル設定まで可能。ファインダー内表示には絞り値・シャッター速度はもちろん、±2EVのバーグラフまで備えている。

 こうした基本機能の充実ぶり、使用レンズの制約の少なさからSマウントレンズを利用する安価なボディとしても人気がある。

 惜しまれるのは、これだけ露出関連の機能が充実しているにもかかわらずAEロックが不可能なこと。せめてシャッターボタンの半押しでフォーカスロックとAEロックが同時にかかる仕様であれば、MFレンズがもっと使いやすかったのだが・・・。入門機にマニアックな利用を求めるのも酷な話。

AF性能とファインダー

 オートフォーカスはワイドフォーカスエリアのみ。カメラがどこにピントを合わせに行くのか分かりづらいタイプなので、中央1点でのフォーカスができると良かった。ただし、ペンタミラー採用ながらピントの見やすいファインダーなので、AFが意図した通りにならなければ合わせ直すか、MFで合わせればよい。

 AFそのものは、モーターにパワーがあることを感じさせる動きでまずまず俊敏。ただし1回のレンズ駆動でピントを合わせきらずに、最後に微調整を行うことが多いのでもたつく印象を受けるかもしれない。また、モーターのパワーの割りにボディが軽量なので、レンズを止めるときのショックが結構手に伝わってくるのはご愛嬌。

 ファインダーはピントは見やすいのだが、全体の見やすさは非常に悪い。アイポイントが短いため、メガネをかけているとファインダー倍率が低いにもかかわらず、視野の周辺がけられて全体を見ることが出来ない。画面右側のファインダー視野内表示を見るためには顔をずらしてファインダーを覗く向きを変えなければならない。

使用感 〜 シンプルで合理的な操作性は秀逸

 何より小型軽量で気軽に持ち出して使えるのが良い。見づらいファインダーだが、プログラムAE任せで撮影している分には表示を気にすることも少ない。ただし、時折スローシャッターになっているのを見逃して手ブレしてしまうこともあるので、やはりファインダーは見やすく作って欲しかった。ストロボお勧めマークが表示されるのだが、見落としてしまう。

 その内蔵ストロボは電池をかなり消費するようで、1度発光させただけで電池の消耗マークが表示されてかなり焦った。ノーストロボで24枚撮り120本の撮影可能枚数が、ストロボ使用率50%で20本、100%では12本まで落ち込む。内蔵ストロボはあくまで非常用、ストロボ撮影と分かっている場合は外付けストロボを用意した方がいいだろう。

 ストロボ撮影は、ペンタックスのTTLストロボを持っていないので外光オートストロボをマニュアル露出で使ったが、シャッター速度を変更するシャッターボタン周りのセレクトレバーを誤って触ってしまいがちなので注意が必要。同調速度が1/100と遅いので、うっかりシャッター速度を変えてしまうと同調範囲外になる恐れもある。

 操作性はシンプルでわかりやすい。操作する箇所は、ドライブモードレバー、モードダイヤル、シャッターボタン周りのセレクトレバー、露出補正ボタンの4箇所。

 ドライブモードは1コマ撮影、連続撮影(2コマ/秒)、セルフタイマーの切り替えのみ。普通は1コマ撮影に合わせたままにしておけば充分。

 モードダイヤルも、ISO感度設定、ピクチャーモード、オートピクチャーモード、シャッター優先モードの4つだけ。ISO感度は普段はDX設定なのでほとんど使わない。オートピクチャーモードはカメラにお任せモードなので、何も操作する必要がない。

 ピクチャーモードとシャッター優先モードは、絞りリングの位置によって露出モードが入れ替わり、レバー操作の機能が切り替わるようになっている。

 ピクチャーモードではシャッター速度が常にオートとなる。絞りがA位置ではプログラムAEとなり、レバー操作でピクチャーモードを変更可能。絞りをA位置から動かせば絞り優先AEとなり、レバー操作は露出補正のみ。

 シャッター優先モードは、レバー操作でシャッター速度を変更するのが基本。絞りA位置ではシャッター速度優先AE、絞りを動かせばマニュアル露出となる。シンプルかつ合理的な設計で感心した。

 これらのモードダイヤル/絞り/セレクトレバーの関係をまとめると以下のようになる。

モードダイヤルAuto PICTPICTTvISO SET
絞り Aオートピクチャーピクチャーシャッター速度優先撮影不可
絞り A以外絞り優先絞り優先マニュアル撮影不可
セレクトレバー無効ピクチャーモード選択シャッター速度変更ISO感度変更

 現在のカメラでは1つ1つのモードにダイヤルのポジションが割り当てられており、ダイヤルを回してピクチャーモードを設定することになるが、MZ-10ではダイヤルはピクチャーモードに合わせるだけで、液晶表示を見ながらレバー操作でモードを変更することになる。

 かつて主流だった液晶の操作が嫌われた末に現在のダイヤル操作へと移り変わったわけだが、ボタン操作と違ってレバーを動かすだけの操作はシンプルで全く苦はない。それどころかファインダーを覗きながらでも簡単にモードを切り替えられるのは、ダイヤル操作よりも利便は高い。

 モードダイヤルを回さなくても、絞りのポジションを変えるだけで露出モードを移行できたり、レバー操作だけで撮影モードを変更できたりする、このMZ-10の操作性は非常に素晴らしい。

主な仕様

発売
1996年6月 希望小売価格60,000円
合焦方式
TTL位相差検出式3点測距ワイドフォーカスエリア 動体予測
測距範囲:EV-1〜18(ISO100)
露出制御
オートピクチャーモード、ピクチャーモード(標準、人物、風景、近接、動体)
シャッター優先AE、絞り優先AE、マニュアル
フィルム感度設定域:ISO6〜6400(DX対応はISO25〜5000)
測光方式
TTL開放分割測光(6分割) 露出補正±3EV(0.5EV毎に設定可能)
測光範囲:EV0〜21 (50mm F1.4 ISO100)
シャッター
電子制御式縦走りフォーカルプレーンシャッター
シャッター速度:1/2000秒〜30秒、B、同調速度1/100以下
ファインダー
ペンタミラーファインダー、ナチュラルブライトマットフォーカシングスクリーン
視野率92% 倍率0.77倍(50mm ∞)
ストロボ
直列制御TTLストロボ内蔵、ガイドナンバー11(ISO100/m)、28mmレンズをカバー
フィルム給送
内蔵モーターによる自動巻き上げ(2コマ/秒)・巻き戻し
電源
3Vリチウム電池 CR2 2個 (他にデータバック用CR2025 1個)
サイズ
135(幅)×90.5(高)×62.5(厚)mm、365g(ボディのみ、電池別)
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