FUJIFILM FinePix F200EXR Part 5
Part 4から11ヶ月、発売から1年迷い続けた末にとうとうF200EXRを買ったので続編記事を書いてみる。一言で表現すれば、使いにくい高性能マシン。
まずはいい点・悪い点をまとめてみたい。
■良い点
- 写り
■不満点
- デザイン、ホールディング性
- 操作性
- バッテリの持ち
- 説明書が付属しない
- 機能設定の複雑さと制約の多さ
良い点は1つだけかいとツッコまれそうだが、ここが一番肝心なところだろう。2010年2月時点で実売1万5千円台のコンパクトカメラとしては破格の写りじゃないだろうか。不満点はすべて些細な問題とも言える。が、やっぱり使いにくいんだよなあ。
デザイン、操作性について
グリップのないカメラがこんなにも持ちづらいものだとは思ってもみなかった。グリップ付きのCOOLPIX Pシリーズに慣れてしまうと、フラットなF200EXRのボディは手が滑って落としそうなくらい不安になる。 そのグリップのないボディをホールディングする右手の指の行き先はというと、あろうことか内蔵フラッシュの上になる。普通は指掛かり警告用の突起や凹凸があるものなんだが、F200EXRの場合は何も無いので指掛かりに気がつかない。撮影した画像を見て「何かおかしいぞ?」と初めて気づく。調光制御は素晴らしいだけに残念すぎる仕様、っていうかどう見てもこれは設計ミス。
ボディ背面のモードダイヤルの位置も問題。ニコンだとそこは専用のゴムを貼られた親指の置き場なわけで、F200を親指でグリップしようとするとうっかりダイヤルが回ってしまうこともある。せめてもう少しクリックが固く回りづらく作ってあればましだったのだが。
電源ボタンも部材に埋もれるような格好で、電源ボタン単独での出っ張りがほとんどないため指がボタンを探してうろうろしてしまう。ボタン自体は面積が大きいので「だいたいこの辺」って感じで押せば電源は入るのだが、なんとも使い勝手はよろしくない。
SDカードスロットもカード排出のバネが強すぎて、うっかりしているとカードがどこかへ飛んで行ってしまうことになる。また、カードを取り出すつもりがバッテリも出てきてしまうことがある。バッテリのロックをもう少ししっかりできなかったのだろうか。
ニコンに慣れていると、とかく気を使って接してやる必要があって実に使いづらい。フジの設計者は他社のカメラの操作性を研究してはいないんだろうか?ニコンのカメラにフジのCCDが入っていれば・・・と思わずにはいられない。S5Proじゃなくてね、小さいのも欲しいのよ。
設定について
機能・モードの設定は、1年前にさんざん頭を悩ませたので比較的すんなり決まった。ただし1年前の想定とは少し違っている。大きな違いはEXRモードとPモードを併用していることと、フィルムシミュレーションをProviaにしていること。EXRモードは600万画素でのダイナミックレンジ優先専用として、Pモードは1200万画素での撮影やフラッシュ使用時用(ダイナミックレンジ優先ではフラッシュが光らないため)として使い分けている。
フィルムシミュレーションは、撮影してみるとソフトであるはずのAstiaの方がコントラストがキツく、スタンダードのProviaの方が遥かに滑らかな絵になっていたためProviaで使っている。
各モードでの基本設定は以下のとおり。
■EXRモード
- 撮影モード:DR(ダイナミックレンジ優先)
- ISO感度:AUTO(上限ISO400)
- ダイナミックレンジ:AUTO
- 画像サイズ:M 4:3 (600万画素)
- ホワイトバランス:AUTO
- フィルムシミュレーション:STD (Provia)
■Pモード
- 撮影モード:P(プログラム)
- ISO感度:AUTO(上限ISO400)
- ダイナミックレンジ:AUTO
- 画像サイズ:L 4:3 (1200万画素)
- ホワイトバランス:AUTO
- フィルムシミュレーション:STD (Provia)
EXRモードは当然のごとくダイナミックレンジ優先で。最低感度のISO100でもダイナミックレンジ400%まで拡張できることと、唯一DR800%まで拡張できるのがEXRのDRモード。普段はオートで十分だが、輝度差の激しい絵でDR800%設定で撮影すると差は歴然。はや手放せないモードとなっている。
ただしEXRモードをダイナミックレンジ優先で使うと、解像度の上限が600万画素に抑えられることと、フラッシュが常時発光禁止となるため、これらの点を補うためにPモードも併用している。EXRモードの中でダイナミックレンジ優先と高解像度優先をメニューで切り替えるよりは、モードダイヤルを回した方が判りやすい。
白トビ・黒潰れがなければ解像度は高い方が写真の情報量は多いわけで、その意味でPモードの解像度は1200万画素を選んでいる。ただ、ISO感度のオートは感度が上がりやすいのでISO100固定で使った方がいいように思うこともある。
その場合ダイナミックレンジ拡張は100%固定になるため、ダイナミックレンジ拡張を使いたいときは600万画素のEXRモードを使うことになる。ISO400/DR100%の1200万画素と、ISO100/DR400%の600万画素と、どちらが良いのかはまだわからない。
このあたりの感度と解像度とダイナミックレンジの関係が複雑なため、設定項目に色々と制約が多いのが難点。僕は購入1年前からさんざん頭を悩ませたので問題ないが、初めて使う人には関係性が理解できないんじゃないだろうか。これだけ設定が面倒なカメラなのに説明書が付属しないのは問題だろう。コストダウンもいいが、利用者のことをもっと考えるべき。
設定のポイントは3要素の全てを求めるのではなく、1つだけを取って2つを捨てると考えられるかどうか。撮影状況によって求められるものは変化してくるわけで、状況に応じた設定の切り替えができるのがベスト。とはいえ切り替えは手間だし変更忘れもあるので、できればカメラ任せにしておきたい。
ところが肝心のEXRオートモードが使いづらいときている。メニュー、操作性、インターフェイス、プログラム等々、もっと洗練された使いやすい製品に仕上げて欲しい。何年言われ続けたらフジは気が済むのやら。
感想
総合的な感想として、写りに関しては素晴らしい。というか、ニコンが酷いのか。P5100やP6000よりも遥かに解像感のある絵を出してくる。ニコンもピクセル等倍で見なけりゃ、そして他と比べなければそんなに悪くは見えないんだけど。絵は圧倒的にF200EXRが良い。ただし、コンパクトカメラのレベルで。S5Proとは比べちゃいけない。操作性、ハンドリングに関してはニコンの圧勝。フジのカメラの操作性は、誰もがダメだと言っているのにどうしてこうなんだろう?実用的にはF200EXRだけど、趣味性ではニコン。で、趣味を取ってP6000を買ってしまったのが1年前だったわけで。
バッテリの持ちも悪いように思う。購入翌日に満充電状態から140枚ほど撮った段階でバッテリ残量警告が表示された。初日だけに色々設定したり再生を繰り返したりと撮影以外の使用も長かったとはいえ、カタログ値で撮影可能枚数が230枚となっている割には消耗が早すぎるように思う。メインで使うなら予備にあと2つはバッテリを持ちたい。なお、EXRオートモードは使用していない。
不満点を多く書いたが、価格を考えれば写りは文句ない。抜群の高性能機だろう。