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KONICA C35EF

携帯性:★★
操作性:★★★★
機能性:★★★
描写力:★★★★
快適度:★★★
 2003年4月、リサイクルショップのジャンク品コーナーにて300円で発見して購入。露出計用の水銀電池が液漏れを起こし、電池蓋が固着して取り外せない状態だったのをクリーニングして、水銀電池の代わりに同型のLR44を入れたところ問題なく動作し実用機となった。1975年に史上初めてフラッシュを内蔵したコンパクトカメラとして「ピッカリコニカ」の愛称で発売され大ヒットしたカメラの改良後期型。

携帯性:★★ − 大きさの割には軽い

 ハッキリ言います。デカイです、このカメラ(笑)。同時にジャンク品で一眼レフのPENTAX MEも購入したのだけど、ボディの大きさだけを比べたらむしろMEの方が小さく感じるほどです。しかしフラッシュ内蔵に伴い感電防止のためプラスティック化されたボディのおかげで、弁当箱のような大柄なボディの割には持ってみると軽く感じます。現代のコンパクトカメラのようにポケットに入れて気軽に持ち出す、という使い方はできませんが、2点吊りのストラップで肩に掛けて散歩するのはクラシックなデザインとあわせて粋ではないでしょうか。

操作性:★★★★ − レバーとダイアルのシンプル操作は明快

 今日のように電子化される以前のカメラのため、操作部はレバーとダイアルによるもので悩ましい所は全く無く、実に明快です。そもそも操作が必要なのは、フィルムを巻き上げ、目測で距離を設定し、シャッターボタンを押す。それだけです。フォーカスロックという手順を踏まなくていい分、AFコンパクトカメラよりも使い勝手では上回ります。

 またフラッシュ撮影も、ノブをスライドさせてフラッシュをポップアップさせれば発光。そのフラッシュ部を押し込めばオフと実に明快で、小さなボタンを何度も押してモード選択をしなければいけない現代のカメラとは比べ物にならないほど素晴らしい操作性です。むしろ、このような操作性を現代のカメラも搭載して欲しいくらいです。

 あえて苦言を呈するとすれば、巻き戻しが少々やりづらいところでしょうか。巻き戻しクランクが小さいうえに、安っぽい部品で取れちゃうことがあるのはちょっと困ります。

機能性:★★★ − 写真を撮ることが機能のすべて

 そもそも複雑な機能は何もありません。フィルム装填・巻き上げ・巻き戻し・感度設定、ピント合わせ、フラッシュのオン/オフ、セルフタイマー。これが機能の全てであり、その全ての利用・設定が使用者の手に委ねられています。写真を撮るために必要最低限のシンプルな機能しか持ち合わせていませんが、逆にこれ以上何が必要なのか?と、現代の複雑化した電子カメラを考え直す材料ともなり得ます。

描写力:★★★★ − ピントは目測式だがレンズの描写は一級品

 目測式のカメラということで、はたしてきちんと写っているのか?という不安を感じていたのですが、仕上がりを見たらそれが全くの杞憂であったことを知りました。ピントの芯がうまく主要被写体に来たコマは、実にシャープな仕上がりで、全体を見てもAFコンパクトカメラに全く劣ることのない見事な仕上がりです。全てが完璧とはいえなくても、AFコンパクトカメラでも意外とビシッとピントの決まったカットは少ないもので、全く遜色ありません。目測設定を誤らない限り大ハズレがないので、むしろ歩留まりはこちらの方が良いかもしれません。

 印象としては、スッキリとした瑞々しい描写で、同じコニカのカメラでも現代のBiG mini Fの鮮やかな発色とは異なった傾向です。むしろオリンパスのμシリーズに近い印象です。そのスッキリとした印象を生かすためにも、また目測式というピント機構のためシャープな仕上がりを得るにはより絞り込みたいこともあり、できればISO400の高感度フィルムで晴天時の屋外での撮影に使いたいです。

 また、このカメラの特色でもある内蔵フラッシュですが、僕の買った個体は充電ランプが点灯しない問題はあるものの、調光精度は全く問題ありません。撮影距離とISO感度の設定ダイアルが直接絞りを変化させているので、フラッシュが正常に光っていれば被写体の反射率など関係なく適正露出となる素晴らしい機構の賜物です。しかし、キーンという充電音はウルサイ(笑)。

快適度:★★★ − まるで手ごたえのないシャッターフィーリング

 単純な機構のため、シャッターフィーリングがまるでレンズ付きフィルムのようで、まるで撮ったという手応えがなく、ちゃんと撮れたのかどうか不安になります。巻き上げフィーリングもかなり安っぽく、この辺に大衆機の面影を感じます。しかしAF駆動が無いことによる極小のレリーズラグと、目測式によるピント合わせからの解放とが相まって、非常に自由に、そして軽快に撮影することができます。

 また前述したように、クラシカルなデザインもレトロな雰囲気を醸し出しており、2点吊りのストラップで肩に下げて散歩するのも小粋な感じです。

 1つ欠点を挙げると、露出計の電源をオフにすることができず、シャッター未チャージの状態でも露出計が動作してしまうため、撮影レンズ上部の受光部に光が入る間は常に露出計の針が触れて電池を常時消耗してしまう問題があります。これを防ぐためにはレンズキャップを使用したり、カメラを長期間使用しないときは電池を抜いておくなどの対策が必要になります。僕の場合、購入したジャンク品にはレンズキャップが付属していなかったので、屋外に持ち出すときだけ電池を入れて、部屋に帰ったら電池を抜いて対処しています。このあたりは時代的に省電力機構が搭載される以前のものなので仕方のない点でしょう。また、水銀電池ならば寿命も長くあまり電池の消費が心配されていなかったのかもしれません。

主な仕様

発売
1976年
レンズ
HEXANON 38mm/F2.8 3群4枚
シャッター
1/60, 1/125, 1/250(3速)
合焦方式
目測式4点ゾーンフォーカス 1m〜∞
露出制御
AE 連動範囲:9〜17EV(ISO100)
ストロボ
内蔵ポップアップ式
外観
128×73×53mm/340g(電池別)
その他
写真は1975年に発売された初代C35EFの改良型。セルフタイマーレバーとシャッター速度1/250が追加されている。
レビュー
人間臭い、暖かみのあるカメラ(askair.hp.infoseek.co.jp)
ストロボを内蔵した,初代「ピッカリコニカ」。カメラのエポックメイキング(urban.ne.jp)
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