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Canon AF35M

携帯性:★★
操作性:★★★
機能性:★★★
描写力:★★★
快適度:★★★
 初代オートボーイ。2003年12月、リサイクルショップにて500円で購入。Autoboy SAutoboy TELE6を使って、オートボーイ・シリーズの写りの良さを気に入ったので、なかなか評判の良いこの初代機も買ってみた。古いカメラだが、これまた良く写るので感心した。

携帯性:★★ − 大きいけれども割り切れる

 こりゃあデカいです。これまで大きい、大きいと思っていたCanon AF35MLやKonica C35EFよりも大きいんですから。ただし、当時は「コンパクトカメラ」なんて呼び名は恐らくなかった時代でしょうから仕方ないですよね。なんとなく、古いカメラなんだからしょうがないか、という気持ちになって許せてしまいます。

 そんな大きなカメラですから、間違ってもポケットに入れようなどとは思わずに、肩に下げて散歩に出かけようという気持ちで持ち出すので、実は携帯性が悪いと気になることはないんですね。中途半端に小さくするよりも、この方が使い手の気持ちも割り切れていいのかもしれませんね。

操作性:★★★ − そもそも操作する個所がない

 操作性、といっても操作するところがないんですよ、このカメラ。発売当時の広告で「カメラのすべてを自動化しました」と謳っているように、フィルム給送、ストロボ、ピント合わせの全てが自動化され、それが当時のウリとなっていたようです。撮影するにはシャッターボタンを押すだけ。シャッターの半押しでのピント合わせすらありません。でも、この方が一般の人には使いやすいかもしれないです。ストロボも、ポップアップさせればオン、押し込んで収納しておけばオフと明快です。やっぱり、シンプル・イズ・ベスト、だなあ。

機能性:★★★ − 古臭いオートフォーカスだが便利な一面も

 前項で書いたように、特に操作する個所のないこのカメラには機能と呼べるほどのものはありません。強いていえば、オートフォーカスが発売当時の目玉機能でしょうが、今となっては機能として取り上げるものですらありません。

 ただし、この最初期のオートフォーカスカメラとしては、フォーカスロック(プリフォーカス)が可能な点は評価できる機能でしょう。これによって、世界初のオートフォーカスカメラであるコニカのC35AF(ジャスピンコニカ)では不可能だった、構図調整が可能になっています。

 ところがこのプリフォーカス、使い勝手はよろしくありません。セルフタイマーレバーを利用したもので、セルフタイマーレバーを倒してシャッターを押すと、レンズ駆動をした上で通常は10秒後にシャッターが切れるセルフタイマーとして機能します。ここで、セルフタイマーが作動する前にシャッターボタンを押すことで強制的にシャッターを切ることができます。つまりピントを合わせた後で、シャッターを切ることができるので、フォーカスロックとして利用することができるのです。

 ところがこのプリフォーカス機能(及びセルフタイマー)は、解除することができないのです。もし誤測距をしていた場合は、ファインダー視野のゾーンフォーカス指標に合わせた距離の被写体を10秒以内に撮るより他にありません。フォーカスロックは現在のカメラの半押しシャッターがやはり使いやすいですが、せめてセルフタイマーの解除ができればもっと使いやすかったんですけどね。

 また、オートフォーカスのレンズが駆動とファインダー視野内のゾーンフォーカス指標が連動して、おおよその撮影距離を知ることができるのは便利です。シャッターを切った後もシャッターボタンを押しっぱなしにしておけばレンズ位置は元に戻らないので、撮影後にオートフォーカスが合っていたかどうかを確認することができるのです。誤測距があった場合(たとえば近距離の被写体なのに指標が無限遠だった場合など)は、再度撮影し直すことができます。最近の高性能化したオートフォーカスのコンパクトカメラでも、ほとんどは撮影距離を知ることができないので、これはいい機能です。またこの際、シャッターボタンを押しっぱなしにしている間はフィルムの巻き上げもされないので、音が気になる時には上手く活用することもできそうです。

描写力:★★★ − 当たればかなり良く写る

 その肝心のオートフォーカスですが、あまり勝手はよろしくありません。部屋で試している分にはかなり正確ですが、屋外で実際に撮影しているとピントを外すことがやや目立ちます。もちろん撮影距離を知ることができるので、ピントを外した場合はそれを確認して再撮影できます。

 ただし、最初期のオートフォーカスカメラでありながらも実際のピント精度はなかなかいいようで、1メートルほど離れた蛍光灯の紐の端に下がっている夜光性のプラスティック部品(長さ約1.5cm、直径約8mm)も、しっかりフォーカス・フレームに入れてシャッターを切るとピントが抜けることもありません。もう少しカメラに慣れれば、歩留まりも向上するかもしれません。

 近距離でしっかりピントの合ったカットに関しては、シャープで立体感もあって、かなり良く写るという印象です。3メートル以内の撮影距離ならば十分に実用的です。記念撮影だと力を発揮するかもしれません。

快適度:★★★ − こういうフィーリングもオツなもの

 無骨なデザインだし、音も大きくて騒々しいし、現代のカメラと比べたら見劣りする面ばかりのように思えてきますが、実際に使ってみるとカメラらしいフィーリングで、僕は結構好きです。古めかしいデザインも、いかにもカメラらしくていいと思います。プラスティック外装を安っぽいと嫌う人もいますが、これはこれでいいんじゃないかなあ。これだけ古くても良く写るという事実が、中身はしっかり作ってあることを示していると思います。騒々しい音は、これはどうしようもないけれど、カメラがきちんと動いていることが手に伝わってくるので安心感にもなります。

 また、使っていて個人的に好感を持ったのは、ファインダーの見やすさです。少々青味がかかった色づきはありますが、充分に明るく倍率の高い視野は撮影意欲を損ねることがなく、非常に好ましいです。ゾーンフォーカスの撮影距離指標も見やすいですし、歪曲も少なく、とても出来の良いファインダーだと思います。

 500円で買ったカメラで、はじめは壊れてもいいような場面で使うカメラにしようと思っていましたが、使っているととても気に入ってきました。安くジャンクで売られることも多いので、また掘り出し物を見つけたら買ってもいいなと思っています。

主な仕様

発売
1979年11月 希望小売価格42,800円
レンズ
38mm/F2.8 3群4枚
シャッター
1/8秒〜1/500秒、セルフタイマー内蔵(電子制御式)
合焦方式
近赤外光投射による三角測量方式、フォーカスロック可能
露出制御
CdS式、完全自動プログラム式EE、測光連動範囲=EV6〜17(ISO 100)
フィルム感度使用域:ISO25〜400
ストロボ
手動ポップアップ式、ガイドナンバー14(ISO 100・m)
外観
132×77×54mm、405g
その他
近赤外発光ダイオードを使用した三角測量方式による世界最初のレンズシャッター式35mmオートフォーカスカメラ。
ファインダーには近・中・遠距離のゾーンフォーカスマークの情報表示機能あり
キヤノンによる製品紹介のページはこちら
レビュー
見かけによらずなかなか侮れないという評判(hi-ho.ne.jp)
取り敢えず撮ってみて…ビックリ(hp.infoseek.co.jp)
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